イランによるサウジアラビアへの
攻撃記録(2026年2/28〜3/19)
編集部より
サウジアラビアに関しては、まとまった日本語資料がなかなか見当たらなかったため、私たち運営チームが一次・二次情報をもとに独自にまとめました。ぜひ参考にしてください。出典はページ下部にすべて記載しています。
【ご注意】本ページに掲載している攻撃記録の詳細データは、各国政府・報道機関・研究機関が公式に発表した情報のみを元にしています。サウジアラビア政府は日次の総数を発表していないため、「—」や「未公表」の箇所は情報が公開されていないことを意味します(被害がなかったことを意味するわけではありません)。

分3つの分析ポイント
攻撃規模が「中程度」だが標的は戦略的
UAEだけで全ドローン発射数の半数超を集中的に受けており、GCC他国(サウジ・クウェート・カタール・ヨルダン・バーレーン)合計の2,491機に対しUAEは1,514機という非対称性がある中で、サウジへの攻撃は「量より質」の傾向があります。
三種類の標的の組み合わせ:プリンス・スルタン空軍基地(米軍)・シャイバー油田・リヤド外交地区という軍事・エネルギー・外交の三種類の目標を組み合わせた、他国より多様な標的選定が見られます。
イランとの「正常化関係」があっても攻撃された
サウジアラビアは2023年にイランと国交正常化しており、またカタールやオマーンも外交チャンネルを持ちながら攻撃を受けたという点で、「外交関係はイランの攻撃判断に影響しなかった」ことが浮き彫りになっています。
最優先の標的基準:イランにとっては「米軍基地の有無」が最優先の標的基準だったと考えられます。 国交正常化という外交的配慮は、軍事行動の判断において二次的な要素に過ぎなかったことが示されています。
唯一「公式総数を発表しなかった」国
UAEが詳細な日次データを公表し続けたのに対し、サウジは個別事案のみの発表に留めました。これは情報戦略の違いを示しており、UAEが後半になって迎撃率の情報共有を減らした動きとも合わせると、「被害の可視化を避けたい」という政治的判断が働いたと見られます。
民間人被害
死者2名(外国籍)
迎撃精度の高さを示す
軍への被害
米軍機5機損傷
国内向け情報隠蔽の動機に
表攻撃記録詳細データ(2/28〜3/19)
※ グラフは各公式発表・報道に基づく数値のみを使用。未公表・複数・大半などの定性表現がある日付は0として処理しています。
数(ミサイル)
- 検知数
- 迎撃数
数(ドローン)
- 検知数
- 迎撃数
| 日付 | 種別 | 検知数 | 迎撃数 | 備考・被害・主な目標 |
|---|---|---|---|---|
| 2/28〜3/1(開戦最初の48時間・最も激しい波)①② | ||||
| 2/28〜3/1 | 弾道ミサイル | 複数 | 大半 | プリンス・スルタン空軍基地・リヤド空港を標的。迎撃成功発表(サウジ国防省)。後日WSJが米空軍給油機5機損傷を報道⚠ 米空軍給油機5機損傷・米兵1名後日死亡 |
| 2/28〜3/1 | ドローン | — | — | 日別数字は未公表。ラス・タヌーラ精油所付近への攻撃確認 |
| 3/2③④ | ||||
| 3/2 | 弾道ミサイル | — | — | 記録なし(この日はUAE向けが中心) |
| 3/2 | ドローン | 2 | 2 | ラス・タヌーラ精油所へ2機。全機迎撃。⚠ 迎撃破片による小規模火災が発生し精油所を一時閉鎖(3/13再開) |
| 3/3⑤⑥ | ||||
| 3/3 | 弾道ミサイル | — | — | 詳細数字未公表 |
| 3/3 | ドローン | 複数 | 一部 | リヤド外交地区(米大使館含む)を標的。一部が着弾⚠ 米大使館・CIA拠点が損傷 |
| 3/5⑦④ | ||||
| 3/5 | 弾道ミサイル | 2 | 2 | プリンス・スルタン空軍基地(アル=ハルジュ)へ2発。全弾迎撃。被害なし |
| 3/5 | ドローン | 7 | 7 | シャイバー油田へ6機・リヤド東部へ1機。全機迎撃。被害なし |
| 3/9〜3/10(検知数が急落。専門家は「兵器枯渇でなく物理的破壊が主因」と分析)⑧④ | ||||
| 3/9〜3/10 | 弾道ミサイル | 3 | 3 | 東部州向け2発+プリンス・スルタン基地向け1発を迎撃。被害なし |
| 3/9〜3/10 | ドローン | 10以上 | 大半 | シャイバー油田へ4・3・2・1機の波状攻撃。東部州・アル=ジャウフ北部でも迎撃⚠ アズ・ズルフィー住宅地にドローン1機着弾(負傷者なし) |
| 3/12(開戦以来最大規模の単日攻撃)④⑨ | ||||
| 3/12 | 弾道ミサイル | 3 | 3 | プリンス・スルタン基地へ3発。全弾迎撃。被害なし |
| 3/12 | ドローン | 31 | 31 | 東部州・シャイバー油田・外交地区周辺に複数波。全31機迎撃。外交地区手前で撃墜。被害なし |
| 3/13〜3/14(記録的規模のドローン攻撃。金曜礼拝時間を狙った攻撃も)⑧⑨⑩ | ||||
| 3/13〜3/14 | 弾道ミサイル | 2 | 2 | 3/14:東部州向け2発を迎撃。3/13:金曜礼拝時間に合わせた攻撃を全阻止 |
| 3/13〜3/14 | ドローン | 51〜56 | 51〜56 | 東部州・アル=ハルジュ・リヤド外交地区周辺に複数波。3/14:記録的56機を迎撃(最多記録)。被害なし |
| 3/15〜3/16(攻撃規模が大幅に縮小)⑧⑪ | ||||
| 3/15〜3/16 | 弾道ミサイル | 1以上 | 1以上 | 3/16:アル=ハルジュ向け弾道ミサイルを迎撃。3/15は大幅縮小 |
| 3/15〜3/16 | ドローン | 60以上 | 60以上 | 3/15〜16夜間:東部州向け約60機を迎撃。3/16:東部州・アル=ハルジュで計34機を迎撃(Al Arabiya) |
| 3/17〜3/18(Bloomberg報道:単日最多〜100機の猛攻)⑧②⑫ | ||||
| 3/17〜3/18 | 弾道ミサイル | 11以上 | 11以上 | アル=ハルジュ向け1発・リヤドへ4発×2波・東部州向け2発(3/17)+アル=ハルジュ1発(3/18)を迎撃 |
| 3/17〜3/18 | ドローン | 約100 | 大半 | Bloomberg「単日最多〜100機」。東部州・ヤンブー方面に複数波。Saudi MoD確認分24機迎撃⚠ SAMREFヤンブー製油所にドローン1機着弾 |
| 3/19 | ||||
| 3/19 | 弾道ミサイル | 3以上 | 3以上 | ヤンブー港向け1発(ギリシャ軍Patriotが迎撃)+東部州向け2発を迎撃。ギリシャ国防相Dendias発表により独立確認 |
| 3/19 | ドローン | 30以上 | 大半 | 東部州・リヤドに複数波(2〜12機単位)⚠ SAMREF関連施設への着弾情報あり |
出典:https://sebastians.in/gulf/ および下記出典一覧を参照
考総括と考察
3種類
標的の多様性
(軍事・エネルギー・外交)
2名
民間人死者
(高い迎撃精度を示す)
0回
公式総数発表
(GCC唯一の非公表国)
今回の攻撃パターンを通じて、イランの戦略的優先順位が明確に示されました。外交的関係よりも米軍プレゼンスの排除を優先し、サウジアラビアに対しては「量より質」の多様な標的選定を行いました。
一方、サウジアラビア側の情報戦略は他のGCC諸国と異なり、被害を最小限に見せようとする政治的判断が透けて見えます。これは迎撃率の高さへの自信の裏返しとも言えますが、米軍資産への被害という政治的にデリケートな事実を国内向けに管理しようとした動きとも解釈できます。
※本資料は一次情報・二次情報を基に、信頼に値する情報源を参照して作成されています。
出出典一覧
- ①Wikipedia: 2026 Iranian strikes on Saudi Arabia
- ②WSJ(Wall Street Journal)2026年3月初旬報道(米空軍機損傷・Bloomberg報道含む)
- ③Wikipedia: 2026 Aramco refinery attack
- ④Saudi Ministry of Defense(サウジ国防省)/ SPA(サウジ通信社)各声明
- ⑤ACLED(Armed Conflict Location & Event Data Project)March 2026 Special Issue
- ⑥Al Arabiya 2026/3/3 報道・UK外相Cooper発言(Wikipedia経由)
- ⑦Al Jazeera 2026/3/7 報道
- ⑧FDD Long War Journal(2026/3/2, 3/9–10, 3/13–16, 3/17–19 各アップデート)
- ⑨Al Arabiya 2026/3/12 報道
- ⑩The National 2026/3/13 報道(51機迎撃)
- ⑪ALMA Research Center 2026/3/16 報道
- ⑫Middle East Monitor 2026/3/17 報道
- ⑬Janes.com 2026/3/19 報道(ギリシャ軍Patriot迎撃・Dendias国防相発言)